一畑電車  いちばたでんしゃ

川跡地区を通っている一畑電車には、大社線(出雲大社前ー川跡)と北松江線(電鉄出雲市ー川跡ー松江しんじ湖温泉)の2つの路線があり、通勤・通学や観光などで多くの人たちが利用しています[1] 。地区には、川跡(かわと)駅と武志(たけし)駅があります。

写真1 一畑電車

いまの一畑電車は、一畑軽便鉄道株式会社(当時)による大正3年(1914)4月29日に出雲今市(いずもいまいち。現在の電鉄出雲市)と雲州平田(うんしゅうひらた)との間 (今市線) の運行が始まりです[2] [3] 。開業当時は、出雲今市・大津町・武志・鳶巣(とびがす)・旅伏(たぶし)・雲州平田の6駅でした。大正4年(1915)2月4日に、雲州平田から一畑(一畑坂下)まで延長して、出雲今市・一畑の全線(今市線)が開通しました。このとき、布崎(ぬのざき)・園(その)・小境灘(こざかいなだ。現在の一畑口)・一畑の4駅ができました。当時は、小境灘の桟橋から松江行きの汽船が連絡していました。

なお、開業当時は蒸気機関車を使用しており、大正11年(1922)には4輌体制となりました。大正11年6月に導入した4号機(ドイツ・アーサーコッペル社製)は、昭和4年(1929)まで使用されていました。この蒸気機関車は、現在、静岡県の大井川鉄道新金谷駅前「プラザロコ」に「いずも1号」の名称で展示されています[3]

一畑軽便鉄道は、大正14年(1925) に一畑電気鉄道株式会社と社名が変わりました。 その後、昭和2年(1927)10月1日に、出雲今市・一畑間が電化されました(今市線)。昭和3年(1928)4月5日には小境灘から北松江(現在の松江しんじ湖温泉)までが電化で運行を始めました(松江線)。松江線の起点は小境灘で、伊野灘(いのなだ)・津ノ森(つのもり)・高ノ宮(たかのみや)・秋鹿町(あいかまち)・長江(ながえ)・古曽志(こぞし)・浜佐陀(はまさだ)・北松江の各駅ができました。また、昭和3年(1928)9月15日に今市上町駅(いまいちかみまち。昭和16年に、大和紡前駅。平成14年には出雲科学館パークタウン前駅に改称)が新設されました。

昭和5年(1930)2月2日に大社神門(現在の出雲大社前)・川跡間の運行が始まりました (大社線)。新駅は、川跡・高浜・遥堪(ようかん)・鑓ヶ崎(やりがさき。昭和52年、浜山公園北口に改称)・大社神門の5駅でした。これにあわせて、鳶巣駅が廃止されました。昭和6年(1931)2月1日に川跡駅の東に大寺駅ができました。また、昭和27年(1952)には、大寺・旅伏間に美談(みだみ)駅が開設されました。

昭和19年(1944)に、小境灘駅・一畑駅間の鉄道線路の供出を命ぜられて線路を撤去したため、これらの駅間の運行が休止となり、昭和35年(1960)に廃止となりました。廃止後、小境灘駅(現在の一畑口駅)はそのまま残ったため、平地でスイッチバックする珍しい運行形態になっています[3]

図1 一畑電車の路線図

一畑電車は開業から百年を超えます。これまでに駅の廃止や、改称、新設などがあり、現在に至っています。

・参考資料

[1] 一畑電車株式会社、「ばたでん 一畑電車 路線・駅の案内」、 www.ichibata.co.jp/railway/ (2021年1月29日閲覧)。

[2] 一畑電気鉄道社史編纂委員会、「一畑電気鉄道百年史」、一畑電気鉄道株式会社、平成28年(2016)。

[3] 祖田 定一、「神々の里を走る電車たち(総合資料集)」、山陰鉄道研究会、平成6年(1994)。

・履歴

2019-06-19 新規登録

2020-01-06 改定1

2021-03-07 一部修正

2021-03-30 公開

・地理院地図

 地図: 地理院タイル を加工して作成
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