南海トラフ地震と川跡 なんかいとらふじしんとかわと
南海トラフ地震は、駿河湾(静岡県)から日向灘(宮崎県東部沖)につながる南海トラフ沿いを震源域として発生する巨大地震です[1][4]。史料や地震、津波などの痕跡調査から、地震の履歴がわかりつつあります。図1は、南海トラフ地震の発生履歴を示しています[1]。地震が繰り返し起きていることがわかります。また、想定される複数の震源地域が連動していることもわかります。

図1 過去の南海トラフ地震発生の状況
地震本部ウェブサイト「南海トラフで発生する地震( https://www.jishin.go.jp/⋯k_nankai/)」[1]
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歴史的史料(記録)から、最も古い南海トラフ地震は、「日本書記」に記述がある天武十三年十月十四日(ユリウス暦 684年11月26日)に起きた白鳳地震(天武地震)です。また、江戸時代以降は、南海地震と東海地震とがほぼ同時に、90-150年の間隔で発生していることがわかっています[1]。江戸時代より古くなると、史料が少なくなるため、地震が発生していても確認できない事例が起きます。
江戸時代の宝永東南海地震(宝永四年十月四日.グレゴリオ暦 1707年10月28日)は、東海道沖から南海道沖を震源域として発生した最大級(M8.4〜8.6)の地震です。地震の49日後の宝永四年十一月二十三日( グレゴリオ暦 1707年12月16日)には、富士山の大噴火(宝永大噴火)が起きています。また、安政地震は、安政東海地震(安政元年十一月四日. グレゴリオ暦 1854年12月23日.M8.4)が発生し、その翌日に安政南海地震(安政元年十一月五日. グレゴリオ暦 1854年12月24日.M8.4)が発生しました。直近の南海トラフ地震は、昭和東南海地震(昭和19年(1944)12月7日.M7.9)と、昭和南海地震(昭和21年(1946)12月 21日.M8.0)です[1]。約2年の時間差がありますが、あわせて昭和地震とも呼ばれます。
前回の南海トラフ地震(昭和地震(1944年、1946年))から約80年が経過しています。歴史的な周期性から考えても、発生の確率が高くなっています。マグニチュードM8〜9クラスの地震の発生確率は、2025年1月1日を基準として今後10年以内で30%程度、 20年以内で60%程度、 30年以内で80%程度と評価されています[2]。最近(2025年9月)、新しい知見に基づいて評価値が一部改訂されました[3]。
南海トラフ地震は、出雲地域から離れた場所を震源域とする地震です。しかし、歴史的に見て大きな影響がないと考えることはできません[5][6]。宝永東南海地震や安政南海地震では、飛び地的に震度6以上と評価されています。昭和南海地震でも周辺地域よりは大きい震度です。このように、周辺地域よりも大きな被害が報告されています。これは、出雲平野が沖積平野であることに起因しています。出雲平野は、諏訪盆地、甲府盆地とともに、南海トラフの大規模地震によって周辺地域よりも一段大きな被害を受けた地域として知られています。
発生の確率が高くなっている南海トラフ地震を、震源が遠い地震と単純に考えてはならないと思います。
参考資料
[1] 地震調査研究推進本部.「南海トラフで発生する地震」、地震本部ウェブサイト.https://www.jishin.go.jp/⋯k_nankai/ (2025年6月20日閲覧).
[2] 地震調査研究推進本部.「長期評価による地震発生確率値の更新について」、令和7年(2025)1月15日. https://www.static.jishin.go.jp/…prob2025.pdf (2025年4月5日閲覧).
[3] 地震調査研究推進本部.「南海トラフ地震活動の長期評価(第二版一部改訂)について」、令和7年(2025)9月26日. https://www.jishin.go.jp/…nankai_3.pdf (2025年9月27日閲覧).
[4] 気象庁.「南海トラフ地震について」、気象庁ウェブサイト.https://www.jma.go.jp/…index.html (2025年6月20日閲覧).
[5] 中央防災会議 東南海、南海地震等に関する専門調査会.「歴史地震の震度分布」、中央防災会議専門委員会資料、第16回、平成15年(2003)12月16日.https://www.bousai.go.jp/…sankousiryou2_2.pdf (2025年9月28日閲覧)
[6] 内閣府.「歴史災害の教訓報告書・体験集」、防災情報のページhttps://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/saikyoushiryo.htm (2025年6月20日閲覧).過去の災害に関する調査報告書などが閲覧できます.
[7] 岡村眞、松岡裕美.「津波堆積物からわかる南海地震の繰り返し」、科学(特集 日本列島をおそった歴史上の巨大津波)、vol.82、no,2、pp.182-191、2012年2月.http://www.cc.kochi-u.ac.jp/~matsuoka/pdf/Kagaku_2012.pdf(2025年6月20日閲覧).
[8] 産業技術綜合研究所.「7世紀末と9世紀末の東海地震の痕跡を発見 -1300年間にわたる東海地震の繰り返しと南海地震との連動性が明らかに-」、報道発表資料、2019年11月19日.https://www.aist.go.jp/…pr20191119.html (2025年6月20日閲覧).
履歴
∆0 2025-11-14 新規登録
∆1 2026-02-08 公開
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